中村果樹園では苗木の一部を自ら作った取木で確保しています。ちなみに、作った苗の販売はしていません。
アテモヤはチェリモヤと釈迦頭の交配果樹であるため、アテモヤの果実から採取した種を植えても「先祖帰り」が起こり親の特性を引き継ぎません。そのため、通常はアテモヤの苗を作りたい場合は接木または取木します。
今回のブログでは取木について解説します。取木にもいろいろと手法がありますが、中村果樹園では「高取り法」という手法を用いてます。
取木とは
取木とは既に植えられた果樹(親株)の枝から根を生やさせて、その枝を切り取って新しい苗とする手法です。挿木が難しい果樹を増やす場合にとられる手法です。
メリット
- 比較的に容易に作れます。
- 接木苗と比べると大きな苗を作れるので初収穫までの期間が短くなります。
- 親株の特徴をそのまま引き継ぐので、親株と同じ要領で木のサイズや樹勢を管理できます。(接木の場合は木のサイズや樹勢が台木となる果樹の種類に影響を受けます。)
デメリット
- 一度に大量には作れません。
取木の時期、手順
4月 取木枝の仕込み
準備する道具
- 水苔(前日から水に浸しておく。)
- ビニールテープ
- 環状はく皮用ハサミ(下記写真の黒色ハサミ)
- ビニール袋(下記写真のストックバッグ)
- アルミホイール
- ハサミ、カッターなど。

適当な太さの立枝を選びます。

節のすぐ下から7センチほどを環状はく皮用ハサミで剝がします。綺麗に剥がせない場合はカッターを使って剥がします。その後、木質部のぬめりを水でこすり落とします。

環状はく皮した箇所に水苔を巻きます。水苔は水をきつく絞ってから巻き付けます。水苔を巻いた個所をビニール袋で包んで水苔が乾かないようにビニールテープで密封します。

日光が当たらないようにアルミホイールで包んだら完成です。

5月から8月頃 発根を待つ
発根を待ちます。その年の天候などによって根の生えるまでの期間にばらつきがあります。

9月頃 発根した枝を親株から切り離す
写真のように発根を確認できたら親株から取木枝を切り離します。


切り離した取木枝をポットに移植します。ポット苗は風が当たらない場所で枝がぐらつかないように固定します。中村果樹園では作業小屋で管理してます。

ポット移植して2か月ほど根の成長を待ちます。

10月 取木苗を植え付ける。
ポット苗の根が十分に成長したら植付準備をします。直径1メートル程度の穴を掘り、肥料や土壌改良剤(パーライト)を混ぜておきます。植付時期は中村果樹園では台風シーズンを避けるために10月末に実施してます。

ポット苗を植え付けます。


ぐらつかないように支柱で固定したら完成です。


